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【Misao's First India Report(43)最終話】
=rising sun=


DATE:2001.08.15 in the Sky
REPORT&PHOTO:石谷みさお(りぶらぶりんくドットコム)


心地よい酔いにまかせて、逃亡の思い出を反すうする。いつも帰路はそうしていた。思い出は10時間を越えるフライトも決して退屈させることはない。けれどさすがに今回は疲れていた。ビールを二本飲み、立て続けにトイレに三度立ったあと、そのまま私は眠った。
どのくらい時間が経ったのか。人々のざわめきの中で目が覚めた。飛行機はバンコック空港に降り立とうとしていた。経由便であることすら、すっかり忘れていた。どうせならトランスファーでもして、バンコック空港を楽しむ便でも良かったかな、と思いながら、眠い目をこすってあくびをする。インドからの乗客はほとんどがここで日本人に変わった。

窓に額を押し当てて、流れていく光をじっと見つめる。やがてそれは途切れ、眼下にはバンコックの夜景が広がった。真っ暗な闇の中、一つ一つの光の点はいったい何なのか。やがて来る朝日を受けて、初めてそれは姿を見せる。醜くとも美しくとも、そこにははっきりとした形がある。

今、私の中にきらきら光る何かがある。
それがいったい何なのか、今はまだわからない。

飛行機は東へ向かって夜の空を飛び続ける。
明かりを消した機内は静寂に包まれる。
私はじっと窓の外を見つめている。
やがて雲の切れ間から、朝日がすべてを照らし始める。

(Lucyみさおの逃亡日記インド編:おわり)

written by Lucy Misao
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