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【Misao's First India Report(17)】
=What's am I doing now?=


DATE:2001.08.08.12 in Tirupati Tirumala
REPORT&PHOTO:石谷みさお(りぶらぶりんくドットコム)


「GOVINDA !!!(ゴーヴィンダー!!)。」

大声で叫びながら、男達が階段を駆け下りる。私たちの並ぶスペシャルキューの隣には、24時間並び続けてきた人々が疲れを越えて興奮を抑えきれずにいる。

「GOVINDA !! GOVINDA !! GOVINDA !!」

人々が声を合わせ神の名を合唱する。
いったい、ここは何処なのだ?まるで違う世界に迷い込んだようなその声に身体が震える。

寺院の門が見えた。鉄柵に囲まれた通路が途切れ、人々が一同に門前に押し寄せる。流れる水で足を清め、腰をかがめて門の入り口にある石畳にあてたその手を自分の額にあてる。鉄柵の無くなった行列はラッシュアワーを通り越し、その中でただただはぐれないように、ミセスRMのサリーの端を握りしめる。

「GOVINDA !! GOVINDA !! GOVINDA !!」

鐘の音が大きくなると共に、合唱の声も大きくなり、階段を上がり神殿に入ったところで人々が走り出した。自分の意志など何の役にも立たない。あれは一体何だったのか。走る人々のパワーに押されて前に進んだ。しかしそれは、何かに引き寄せられたようでもあった。何が起こっているのか、今自分が何をしようとしているのか、そんな事もわからないまま、ただただ何か見えない力に押され、引き寄せられ、顔を上げたその瞬間、

「あっ」

そこに黄金に輝く神の姿があった。
一瞬だった。立ち止まる事など許されない。背中を押され、だんだんとその姿は遠ざかる。

「後ろを向きなさい!」

ミセスRMが私の背中をまわし、神が見えなくなるまで二人で祈りを捧げる。胸の前で手を合わせ、手をさしのべ、まるで見えない何かをすくい取るように手を広げ、そしてその、すくい取った何かを崇めるように、頬に額に、何度も何度も手をあて、また胸の前で手を合わせる。

この気持ちは何だ。
誰に習ったわけでもないその仕草を繰り返す自分自身が理解できない。得体の知れない感動に包み込まれた喜びと怖さに胸の鼓動が高まり平静を保てない。

これは一体何だ。私は今ここで何をしているんだ。


written by Lucy Misao
web livelovelink.com

 

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