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【Misao's First India Report(18)】
=Birth time=

DATE:2001.08.08.13 in Chennai
REPORT&PHOTO:石谷みさお(りぶらぶりんくドットコム)


受話器を降ろして再びベッドへ潜り込む。
昨日の得体の知れない感覚と、チェンナイからティルパティティルマラまで往復10時間に及ぶドライブに身体は疲れ切っていた。

「RM氏のお宅へ伺った後、占い師の所へ行って、その後、2社程訪ねる予定です。」

朝9時の電話で相棒がそんな事を言っていた。
午後1時にはミスターRMがやってくる。
気がつけば既に11時。熱いお湯を目一杯出してシャワーを浴びた。普段何とも思わずにいたことが、たまらなく贅沢に思える。足の裏は相変わらず真っ黒だ。昨夜バスタブの中で一生懸命洗ったけれど、当分この汚れは落ちそうにもない。ティルパティは夢でも幻でもなく現実だ。バスタブに座り込んで足の裏を洗いながら、ふと、昨夜の事を思い出す。

「あなたは何時に生まれたのですか?」
「知らない。」

真暗な夜道を走りながら、ミスターRMが私の出生時刻を訪ねた。
生年月日は日本にいる間に連絡してある。しかし、この国では占いに出生時間が必要だ。

「だいたいでいい。」

本当に知らない。
自分の生まれた時間くらい子供の頃に母親が教えそうなものだ。けれど、私と母は「普通」の母娘ではなかった。母が私を産んだ時間など知りたいとも思わなかった。

「午後二時。」

適当に当たり障りのない時間を言った。占いなどに興味はない。けれどこの国でホロスコープは重要な役割を持つ。これも必要な事なのだ。占い好きの相棒はきっちりと自分の出生時間まで調べていた。今頃は占い師の所で身を乗り出している事だろう。


written by Lucy Misao
web livelovelink.com

 

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