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【Misao's First India Report(36)】
=Safety first=


DATE:2001.08.14 Hyderabad
REPORT&PHOTO:石谷みさお(りぶらぶりんくドットコム)


「時間がないから!早く!」
靴を脱いで車を降り、走って洗い場に向かい手と足と口を洗う。なるほど、ハイデラバッドの夜の街らしいと思いつつ、言われるままに男達のあとをついて走る。

先頭はラム。
敬謙なヒンディーで菜食主義者である彼の体には余分なものが一切ついていない、おまけに、毎朝ヨーガで鍛錬を欠かさない。そのせいか、とにかく速い。まるで風のように動く。

日本でラムと一緒に水族館へ行った。その時もこうだった。気がつけば彼は走っている。

半年間の日本滞在中、彼はかなり大規模なプロジェクトに参加していた。ハードな毎日だった。まともにアパートに帰ることもできない。泣き言一ついう事はなかったけれど、最後に血を吐いた。菜食主義者の彼にとって、日本の食生活は厳しいものだった。170cm以上ある彼の体重は40kgを切っていた。
もともと彼は日本で私達を見送るはずだった。しかし、体を壊し、急遽帰国したため、今回の再会となったのだ。
柄にもなく私は心配していた。

しかし、何のことはない。
ラムは先頭を切って大理石の石段を駆け上がっていくのだ。

夕方からの雨で大理石の石段はすべって転びやすくなっている。
「Misao, Safety first !!」
何度も後ろを振り返って言うラムに「大丈夫よ」とうなずきながら、コイツのセーフティファースト(安全第一)は [ Safety fast ](安全に速く!)やな、と思いつつ、元気な姿に安心した。

しかし、いったい、こんなに走ってどこへ行くのか?これがハイデラバッドの夜の街の作法なのか?真っ白の大理石のこの建物は、レストランか飲み屋なのか?

「Misao, Safety first !!!」
わかった、わかった、と言おうにも息が切れてもう言葉もでない。これで冷たいビールでもなければ絶対に私は耐えられない。

雨にぬれて裸足で真っ白な階段を駆け上がること10数分。
ようやくたどりついたそこで見たものは

written by Lucy Misao
web livelovelink.com

 

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