BACK
<< NEXT << TOP

 

 


【Misao's First India Report(9)】
=Guide=


DATE:2001.08.10 in New Delhi
REPORT&PHOTO:石谷みさお(りぶらぶりんくドットコム)


10ルピー紙幣を突っ返され、もう一度案内板を見る。

.............Natural India Rs10
.............Other India $10

「ぼったくりやないかい!」
叫ぶ私の隣で、相棒は窓口に向かって「I'm India !」と悪あがきを繰り返す。

週末のウクタブミナル(Qutab Minar)には世界中の観光客。英語で悪態をつく相棒は絶好のカモ。近づいてくるグラサンかけた怪しげなインド人ガイド。
「あんたら何も知らんやろ?100ルピーでガイドしたるけど、どうや?」
そんなもんいらんわい、と言うにも関わらず、無視して交渉を始める相棒。英語で話す二人の傍らで「いらん」「いらん」を繰り返す私の日本語に反応して近づいてくる日本語ガイド。カモにされる気分はよろしくない。

1193年にヒンディーとの戦いに勝利したウクタブウッディン(Qutab.uddin)がそれを記念して己が力を誇示するために建てた高さ100mの塔。飛行機事故で先っぽを落としてしまい、今は73mになっている。中に階段があり、昔は上れたらしいが、急勾配のため事故が多発し現在は外観を見るに留まる。敷地内には戦い以前にあったヒンディーの寺院跡。彫刻されていた神の石像はすべてそこだけがはぎ取られていて痛々しい。

モスリムとヒンディーの戦いの歴史は古い。
無宗教・無思想の私にその背景を理解することは不可能に近い。しかし、建築技術そして施された彫刻はとにかく素晴らしい。

100ルピーの英語ガイドはよくしてくれた。
相棒はメモと写真を取るのに必死だった。
私はずっと不機嫌だった。

「ガイド、嫌でしたか?」
「余計な知識なしに自分の目で見て感じてから、好奇心のまんまに自力で資料を調べるっちゅうのがウチの好きなやり方やな。」
「あなたの取材の助けになればいいと思ってお願いしたんですけど。」
「嬉しいけど、あんたの言う車の運転と一緒でな。自分で考えたり調べたりせんことには身につかん。」

ガイド代100ルピーは相棒が支払った。

written by Lucy Misao
web livelovelink.com

 

BACK << NEXT << TOP